どこで神様に会うか分かったもんじゃない

吉田修一『静かな爆弾』(中公文庫)読了。

a0091515_14422622.jpg初めて読むこのひとの長編だったが残念だが今まで読んだ短編集の方がすっきりと濃密で気持ちに漣立つ感じがする。
やはりこのひとの描く処は迷子になってしまった気持ちなのだろう。何時の間にか見知らぬ風景の中にいる自分を見るはめになってしまうのだ。何時も見ていた街なのに。周りは知っている人ばかりだったのに知らないひとばかり。知っていると思っていた自分がいなかったり、自分の知らない自分がいたり。
短編だと最後まで残ってしまう苛立ちもきっぱりとピリオドを打てるが(そこが快感なのだが)、長編だと枝葉だけが溜まって本を閉じても終われないものが残っている。(いい意味ではなく)
「知らない人間の中に紛れた自分は、きっと自分でも探し出せない。」
社会的な事件やマスコミ業界を持って来たのも胡散臭く思うだけで心が離れてしまう。
と、最後の数頁を読むまでは思っていた。
ひたすらビル・エヴァンスを聴きながら。

by costellotone | 2011-11-03 14:45 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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