Return To Forever

a0091515_15302591.jpg山田詠美 『学問』 (新潮文庫)

逃がれられないこと。
自分の身体が勝手に何かに向かって暴走するのを知って戦く時。家の中に一人ぼっち、世界で一人ぼっちの静寂を知る時。自分と他人、頭の中と身体が別のものであると知る時。
本屋さんでも図書館でも自分の家の本箱でも、書棚に並ぶ数多くの本の中から選んだ一冊の背表紙のてっぺんに人差し指をかける快感を知る時。それが「幸せな夜の夫婦の営み」だとしても。
便利なものなど何もなく、すぐさま役立てられる気の利いたものもない場所。けれども、ひとたび欲しいと願えば、すべてが手に入る場所。
それは言葉にならないものがいっぱいある時だ。失われるものがいっぱいある時だ。
抜群なラスト。過ぎ去った風の気配。黄金時代。

by costellotone | 2012-04-09 15:33 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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