藪の中

a0091515_17473644.jpg堀江邦夫 『原発労働記』 (講談社文庫)

下請け労働者として「美浜原発」「福島第一原発」「敦賀原発」で就労し、実際ペデスタルへ潜り込んで働いたノンフィクション『原発ジプシー』が27年ぶりに去年事故後急遽復刊されたのが本作。
何時だったか、流れ出た汚染水をモップで集めてウェスで拭き取りバケツでリレーして捨てたと言うニュースを聞いて、そのあまりに原始的な除染作業に驚いたのだが、この本を読んだ限りではその当時は日常茶飯事だった。下請けの下請けの下請け。差別。ピンハネ。外国人労働者。不感症。無関係・無関心。あの頃から何が変わったのか、少しはよくなったのかはやはり藪の中。
原子炉建屋自体が「杜撰」と言う巨大な怪物なのだ。その海に向かって立つ威風堂々とした見た目から建屋内部の狭く暗い通路の床に付着する目に見えない塵に至るまで「杜撰」なのだ。もちろんそこで働く電力会社社員から親方、手配師、就労者ばかりでなく文科省、政府から国民まで全部「杜撰」な日本なのだ。
否、「杜撰」ではなく「絶望」と言うお化け。

by costellotone | 2012-04-10 17:58 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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