〈だから、ぼくはこのどうしようもないところから出てゆきたい〉

a0091515_503329.jpg中上健次 『十九歳のジェイコブ』 (角川文庫)

ありきたりな想像のつく展開なのだが、それにこの作家のよくある設定なのだが、どうしてこうも嬉しくなるのだろう。それはそうだからではなく、「読み難さ」「解らなさ」から来ている魅力だと思う。構成は歪だし、無駄は多いし、整理整頓されていないしで、ガタガタして脈絡がない。そのことが主題と合致しているのだ。クスリ飲んで父親殺しする妄想まみれの脳髄の19歳だ。そこにしかありえない頃だ。
映画でもそれは魅力と思うのだが、先に観た村山の『拝啓、ヨーコちゃん』ではないけれど、「見たことある」「解り難い」「整理されていない」なんて言われて、監督本人もそう思ってしまって、何処にでもある、誰でも撮れる、見やすい、テンポのいい、解りやすい作品になってしまうのだ。直せば直すほど差別化が薄くなってし平均化されてしまう。お願いだから荒削りなままでいてね。観客の勝手な願いだけど。

by costellotone | 2012-11-14 05:03 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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