川の流れのように

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a0091515_551427.jpg田中慎弥 『共喰い』 (集英社文庫)

芥川賞作品が文庫化されたので読んでみたが、それ以前に発表されていた『図書準備室』や『切れた鎖』の方がよっぽどおもしろかった。
それらに比べて表題作は創り込み過ぎているのが気になってしまう。それも凝縮され過ぎていて、もっと緩い時間の流れにした方が望み見る川の流れのようで怖さが出たのではないか。性急過ぎたとも言えるのか。
でも父親の指が主人公の足に触る処はいい。
巻末の瀬戸内寂聴との対談の中で「フィクションしか書かない」と言うようなことを言っていたが、それが裏目に出たようだ。
これを映画化する青山真治監督は川と鰻を映像的に前面に押し出したらおもしろくなくなる。登場人物たちの仕草や癖などの立ち振る舞いを偏執的に撮った方が本質に迫れそうだ。
表題作に比べれば『第三紀層の魚』の方が展開が緩やかで出来事も「日常的」で主人公が見えている。

by costellotone | 2013-02-27 06:10 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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