馬に狐乗せて走らせる

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a0091515_1512777.jpg車谷長吉 『鹽壺の匙』 (新潮文庫)

どれもこれもおもしろいし、中でも『萬蔵の場合』と『吃りの父が歌った軍歌』は忘れられなくなりそうで怖いほどだが、気分が暗澹として来る。
果たして前者の主人公でもなく、キチガイじみたその恋人でもなく、その恋人の部屋に出入りする幽霊のような男のことを想像する度に駆け出したくなるくらい暗い気持ちに襲われ、頁を閉じて布団を頭から被りたくなる。
後者の冒頭で父のことを「あれは仏滅さんやな」と書いているが、「ド仏滅が入った」ようなものだ。
「私小説」とはこう言うものなのだろう。自分もそこに在る。だからもっともっと読みたくなるのだ。
(この文庫本を読んでいる間中は音楽を聴くことが出来なかった)

by costellotone | 2013-03-14 15:20 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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