祭ばやしが聞こえる

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a0091515_2394344.jpgタナダユキ 『復讐』 (新潮社)

久しぶりに読み終わりたくないと思いながらそれでも加速しつつ読んだ。去年の中上健次『奇蹟』以来だ。
こんなことを言っては失礼だが、うまい。リズムの作り方、テンポの緩急、展開の間合い、センテンスの長さ、言葉のチョイス、レトリック。
痣や「迅レンジャー」や靴や花などの小道具や湾と言う場所の中の橋げたの小さな公園、地方、祭、渡し船やバスケットボール。
後半、少年と先生の行替えが対峙してから祭りと事件のクライマックスへ向かう最中の雨。事件後の再びの雨。
希望しかないと言う絶望。そこに残って暮らしてゆくしかないと言う最後。これしかないと言う作者の強い意志。
結局先生も親も少年の本当の名前を知ることはない、少年は本当は誰かを知ることはないと言う、読者に与えられた特権の快感。
タナダさん凄いな。本当にタナダさん映画化しないかな。しなくてもいいか。これだけ小説として完成されていれば。

by costellotone | 2013-07-12 23:24 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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