蛇たちには声はないのだ

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a0091515_2022649.jpg小川洋子編 『小川洋子の偏愛短篇箱』  (河出文庫)

収録されている16編のうち既読なのは内田百閒『件』と江戸川乱歩『押絵と旅する男』のみ。
一番おもしろかったのは兎の生血を裸身に浴びて兎の縫いぐるみを纏う金井美恵子の『兎』だ。兎が生来嫌いなだけにぞくぞくとしながら感触を思い浮かべてしまう。もちろん着ぐるみの中から外を見ている気持ちを。自分の肌と兎の皮の内側の隙間にしたたる生き血。胃袋の中のぎゅうぎゅう詰めの兎の肉や内蔵。その時の僕の目玉は桃色。僕の周りの匂いはどんなだろう。
他に宮本輝『力道山の弟』、田辺聖子『雪の降るまで』、吉田知子『お供え』の3編が秀逸だった。もしかしたら田辺聖子の小説を読んだのは初めてだったかも知れない。ちょっと驚いてしまったのでもっと読んでみたいと思う。

by costellotone | 2014-02-10 20:35 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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