紀ノ国屋

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a0091515_2135791.jpg小川洋子 『シュガータイム』 (中公文庫)

ちょっとありえない奇妙で素敵な話を書かせたら当代随一。これまで読んだ『薬指の標本』も『博士の愛した数式』も『ミーナの行進』もそう。初めての長編だったそうでぎこちなくもないがそれも含めて瑞々しい。食べもののことが多く語られているが何故か透明感が漂う。食べ物って映画界では「消えもの」と言うくらいだからね。
「パイン、桜桃、アスパラガス、ぎんなん、サーディン、・・・・・・あらゆる種類の缶詰。そしてペースト状に裏ごしされた小さな壜に収まっているかぼちゃ、にんじん、バナナ、白身魚、レバー・・・・・・。その一つ一つを目で追っていると、迷路に迷い込んだように胸が締めつけられた。(これを全部一度に抱きしめることができたら、どんなに素敵だろう)。わたしはひたむきにそう思った。」

by costellotone | 2014-09-21 21:21 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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