レコード棚から-18

岡林信康-見るまえに跳べ (1970)

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 高校1年の学校帰り、駅を出ると5,6人が車座になっているのが眼にとまって近づいて行くと、真ん中にいた見栄えのしない男がギターを弾きながら歌い出した。初めて耳にする、今までに聴いたことのない、とても変った歌だった。今でこそ駅前でギターを持って歌うストリート・ライブなど何処でも見ることが出来るが、その当時人前でギターを弾きながら歌う人間など見たことがなかった。その男が岡林信康だった。がむしゃらに、かつ朴訥に歌っていたのが『ガイコツの歌』、『くそくらえ節』で、そのあけすけな歌詞に驚いた。それまではテレビやラジオから流れて来る歌謡曲や外国のポップスしか知らなかった。それらの聴きやすいメロディーと着飾った歌詞に比べて、ストレートな歌詞と単調な曲調ではあるが、何か惹かれる処のある彼の歌が強烈に記憶に残っていて、後日ラジオから流れて来た時にすぐに想い出したのだった。
 『私を断罪せよ』(1969)と言うアルバムを出して歌が売れ、名前も売れて来た岡林がデビューアルバム発売寸前の「はっぴいえんど」をバックに録音されたアルバムが『見るまえに跳べ』でした。
 このアルバムには「フォークの神様」、「日本のボブ・ディラン」ともてはやされた彼の葛藤と、そのプレッシャーを乗り越えようとしている意思が強く現れています。それまでの日本の音楽でここまで現在形で等身大の自分自身を表現した人間はいなかっただろうと思います。「からっぽの世界」で知られる「ジャックス」の早川義男のプロデュースで、デビュー・アルバム発売直前の「はっぴいえんど」の音にも助けられダイレクトで、吹っ切れた歌が聴こえて来ます。
by costellotone | 2007-01-10 13:32 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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