夢に関する3冊

a0091515_1453064.jpg内田百閒  『冥途』 (ちくま文庫)

『旅順入城式』、『花火』、『豹』など夢の短編(!?)が集められている。
師・夏目漱石の『夢十夜』よりもどんよりと、ぼんやりとしていて、そこがまた凄みがあって不気味。
中でも『件』は、頭が人間で身体が牛と言う物の怪に自分がなっていて、預言をして3日で死ぬと言われ、廻りの皆が預言を求めて迫って来る。それをまた自分がハラハラ見ている。
夢の中ですぐに泣き出してしまうのがチャーミング。

a0091515_1463851.jpg島尾敏雄 『その夏の今は・夢の中での日常』 (講談社文芸文庫)

敗戦直前の奄美群島の特攻隊に配置された人間の、極限の生と死の狭間の日常を、
あまりにも明るくのんびりとした島での生活を非日常的に描く。
状況からして「夢」としか捉えることが出来なかったのではないか。
スイッチに指が乗っかってしまっている時間と闘うには大恋愛しかない。
その後の後、しまおまほが生誕する。

a0091515_147058.jpgつげ義春 『つげ義春とぼく』 (新潮文庫)

20代の頃僕も夢日記をつけたことがあったが、ほとんど毎回同じような色合いだった。
つげ義春の世界に似ていたが、『ねじ式』や『ゲンセンカン主人』、『紅い花』などのような明確なテーマはなく、もっと薄暗く半透明だった。
夜中の山間部を走る汽車に乗っていて、過ぎ去っていく遠くの家の灯りをぼんやりと見ている。
関東近郊の鄙びた鉱泉宿へたどり着くつげ義春が見たであろう景色に近いと思う。

by costellotone | 2007-01-14 15:16 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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