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レコード棚から-21

Bob Dylan - Desire (1975)

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 ボブ・ディラン20作目(?)のアルバム『欲望』。
 興味のない音楽は全て同じように聴こえてあまり区別が出来ないものだが、このアルバム以前のディランの曲が僕にとってはそうだった。傑作と言われた『追憶のハイウェイ61』や『ブロンド・オン・ブロンド』を聴いても、何がいいのかさっぱり解らなかった。単調なギターとだみ声で喋るように歌う曲がみんな同じに聴こえていたのだった。
 しばらくの間ディランからは離れ、もっぱらサイモン&ガーファンクルとニール・ヤング、また日本の「はっぴいえんど」などに熱中していたのだが、「ハリケーン」がラジオから聴こえてきた時に、これは誰だ!と立ち上がった。もちろん特徴のある声を忘れる訳はなかったのだが、別の新しい歌手と出会ったかのようだった。
 全曲すばらしかった。今までにはなかったような歌の力がひしひしと感じられた。楽曲もとてもメリハリがあり、しかもタイトで、これまで無名だったらしいスカーレット・リベラの泣きのヴァイオリン(フィドル)とハワード・ワイエスのドラムがディランをしっかりと支えていた。加えてエミール・ハリスのコーラス。特に「コーヒーもう一杯」ではディランと絶妙の掛け合いを聴かせる。
 もう1つ加えて、このアルバムでは大半の詩をジャック・レヴィと共作している。(この人はオフ・ブロードウェイの『オー!カルカッタ!』の演出家らしい。)
 こうして今までにない体制でツアー中に録音されたこのアルバムはヒットし、この後の『ザ・ローリング・サンダー・レヴュー』、『激しい雨』も好評だった。しかしその後ディランは宗教色を強めて行く。
 アレン・キンズバーグのライナー・ノーツがレコードの紙袋に印刷されていた。
 僕は21歳になったばかりだった。
 今ではこのアルバムよりも以前の方を多く聴くようになっている。
by costellotone | 2007-02-11 14:54 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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