恐怖に関する3冊

a0091515_11533625.jpgスティーヴン・キング 『死のロングウォーク』 (扶桑社ミステリー)

キングが大学生の頃に「リチャード・バックマン」名義で書いた作品で、高見広春『バトル・ロワイアル』の元ネタ。
少年100人がただひたすら歩き続ける競技。歩行速度が落ちると警告を受け、1時間に3回受けると射殺され、最後の1人になるまで続行される。つまりは99人が死ぬまで歩き続ける。
ラストの、あるであろうカタルシスを求めて読み進めるしかない、ホラーではない傑作。
「死ぬまで歩く」、「死ぬ気で歩く」ことは人生の比喩なのか。

a0091515_11541014.jpg「新潮45」編集部・編 『殺人者はそこにいる―逃げ切れない狂気、非情の13事件 』 (新潮文庫)

雑誌『新潮45』に連載された凶悪犯罪事件のノンフィクション集で文庫版で4冊出版されている。。
インターネット、「2ちゃんねる」による「事件」の急速な希薄化が浸透してしまった現代においてもなお未だ想像を絶する事件は起きていると思われるが、即刻伝播されると同時に想定範囲内の事例に過ぎなくなって浸みて行く。解析よりもブリーチの方が速いのだ。ノンフィクションを読む側も麻痺、自家中毒化しているから即物的な「胎内電話」よりも「自殺テープ」へより想像力が強く向かってしまう。
この世は断末魔の叫びで埋め尽くされていることを忘れずに生きよう。

a0091515_11543556.jpg松谷みよ子 『現代民話考』(全12巻) (立風書房・ちくま文庫)

『ちいさいモモちゃん』、『龍の子太郎』の童話作家、松谷みよ子が世の中の不思議、怪談を集めた現代の『遠野物語』。
昔からの「河童・天狗・神かくし」から学校、テレビ局、写真、タクシーまで、様々な民話、伝説、怪談が集めれているが、1番興味深いのは「銃後」。直接的な残酷さも恐ろしいが、戦争の背後の日常にも邪な風評、物の怪が立ち上がる。
はたして「恐怖」とは警告と知るべし。何回で射殺だろうか?

by costellotone | 2007-03-07 12:21 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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