レコード棚から-30

ザ・タイガース - 世界はボクらを待っている (1968)

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 1960年代後半に起こった「グループ・サウンズ」ブームの中で人気№.1だった「ザ・タイガース」の映画第1作のサントラ盤。この映画は和田嘉訓監督で1968年に東宝で封切られました。僕は中学3年生で、地方の街のとても小さな映画館で観ました。
 「グループ・サウンズ」ブームは1966年のビートルズ来日公演が契機となっていると言われていますが、第2次大戦後から「朝鮮戦争」を経た進駐軍キャンプやFENなどのラジオ放送によるジャズやポピュラー音楽の日本への浸透、エルヴィス・プレスリーの映画と挿入歌のヒット、ベンチャーズによるエレキ・ブーム、ピート・シーガー、PPMなどのアメリカからの反戦フォーク・ブームなどが相まって出来上がって来ました。つまりは街に多くの映画館が出来、各家庭にはラジオとテレビが普及した時期でした。社会的なくくりで見れば、日本が戦後復興を成し遂げた後の高度成長期に突入した時期で、その頂点が1964年の「東海道新幹線」開通と「東京オリンピック」開催でした。つまりは経済的、物質的な困窮から脱し、次は文化的、精神的な困窮からの脱出を図ろうとする段階で、「安保」や「ベトナム戦争」等の政治的な問題は山ほどあったにも関わらず、国民大衆はひたすら娯楽を求めていた時代でした。音楽だけではなく「プロ野球」や「プロレス」なども発展・繁栄し、各家庭も自家用車を手に入れ、カラー・テレビが大量生産されました。
 全ての社会的な現象はとても多くの要素が重なり混ざり合って出来ていますが、潜んでいるのは、終末へグルグルと向って行く「時代の欲望」です。「グループ・サウンズ」のブームも10年程で終焉を迎えますが、その後「第1次バンド・ブーム」(1970年代後半、サザン)と「第2次バンド・ブーム」(1980年代後半、イカ天)が来ます。このふたつの間には「安定成長期」から「バブル景気」の時期ががサンドイッチされています。
 数多く出たグループ・サウンズの中でトップ・グループにいたのが「ザ・タイガース」、「ザ・テンプターズ」、「ザ・スパイダース」、「ジャッキー吉川とブルー・コメッツ」の4グループで、その後を「ザ・ワイルドワンズ」、「ヴィレッジシンガーズ」、「オックス」、「ザ・カーナビーツ」、「パープルシャドウズ」が追い、ちょっと離れた処に「ザ・ゴールデン・カップス」と「ザ・ジャガーズ」などがいました。他にもカレッジ・ポップス、湘南サウンド、ブルース・ロック、サイケデリックなどからお笑い系までいろいろなグループが、よく言えば百花繚乱、もしくは雨後の筍のごとく現れました。
 さてこのレコードは一応サウンド・トラックと銘打っていて、各楽曲の途中には映画のシーンの台詞などが挿入されてはいるものの、どうも実際映画で使用された音源ではなく、台詞も付け足されたものもあり、継ぎはぎだらけのサントラらしいです。けれでも当時中学生の僕はそんなことを知る由もなく、妙に感動して聴いていました。
 えーと、肝心の映画の内容なのですが、単純に言えばSFファンタジーとアイドル映画をくっつけたようなものなのですが、実際はあまりに稚拙で雑な作品でした。2つを足して5で割ってしまったような。空を描いた絵の前で、糸でぶら下げた円盤を回し、「ヒュルルルル」と効果音を入れたような・・・。ストーリーもとってつけたようなお粗末なものでした。(本当のところはあまり覚えていないのです。)まあ、トップ・アイドル・グループでしたから撮影のスケジュールもなかったのでしょう。
 この映画よりも同時期にテレビで流された明治チョコレートのCMの方が記憶に強く残っている。並木道を黒マント姿のタイガースがやって来て、パラソルを差したお嬢様(?)にチョコレートを手渡し去って行く。バックにはタイガースが歌う「落葉の物語」が流れている。映画のお粗末が強烈だったから、このCMだけの方がイメージがよかったのではないかとさえ思ってしまいます。
 「グループ・サウンズ」の映画は他にも『ザ・スパイダースの大進撃 』、『ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを』などありましたが、どれもやはりスケジュールの関係なのか、いい加減な作品が多かったようです。けれども『 進め!ジャガーズ 敵前上陸 』(1968年松竹・前田陽一監督・中原弓彦脚本)と『落葉とくちづけ』(1969年松竹・斎藤耕一監督 )の2本はちょっとだけおもしろかった覚えがあります。

P.S.1 実は僕の娘が高校生になって軽音部に入り、エレキ・ギターを買って練習し始めた。と言うことはゆくゆくはバンドを組むつもりなのだろう。と思いつつ音楽番組を観ればバンドだらけではないか。もしかしたら今は何回目かのバンド・ブームの真っ只中なのかも知れない。
 ガールズ・バンドに限って見れば、「プリプリ」も「ZONE」も解散してしまったが、今では「チャットモンチー」と「中ノ森BAND」、「オレスカバンド」が有名で、今時の女子高校生の目標になっているようだ。。ところでギャルバンのはしりは誰だったのだろう。「グループ・サウンズ」の頃には「ピンキーとキラーズ」がいたし、その後は「シーナ&ロケッツ」、「カルメン・マキ&OZ」もいたが、女性はヴォーカルだけだった。メンバー全員が女性だったのは「SHO-YA」と「ZELDA」だったが。
P.S.2 今年の沢田研二のコンサート・ツアーのタイトルは「生きていたらシアワセ」です。その通り!
by costellotone | 2007-06-25 13:35 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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