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ありがとう記憶の編集してくれて 切ったフィルムは もちろん捨てて      向井ちはる

「映画演出3」 課題A短歌制作 引用歌
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海よその青さのかぎりなきなかになにかなくせしままわれ育つ          寺山修司
駆けてきてふいにとまればわれをこえてゆく風たちの時を呼ぶこえ       寺山修司
妹とケンカしてても庭にでてなめくじ見せれば勝ったも同然            鶯まなみ
道場の長与千種のサンダルは「CHIGUSA」と赤く書かれていたり        春野かわうそ
そやからなそこをおさえなあかんねんおさえへんからプリッといくねん      えやろすみす
あの夏の数かぎりなきそしてまたたった一つの表情をせよ             小野茂樹
逃げてゆく君の背中に雪つぶて 冷たいかけら わたしだからね          田中槐
逢うたびに抱かれなくてもいいように一緒に暮らしてみたい七月          俵万智
つきなみな恋に旗ふるぼくがいる真昼の塔がきみであります            正岡豊
ぼくたちは勝手に育ったさ 制服にセメントの粉すりつけながら           加藤治郎
したあとの朝日はだるい 自転車に撤去予告の赤紙は揺れ             岡崎裕美子
好きだった世界をみんな連れてゆくあなたのカヌー燃えるみずうみ         東直子
日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも              塚本邦雄
「ヒューマニズム」を無二の理想にかかげつつ五十余年の果てに「むかつく」   小池光
3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって              中沢系
牛乳のパックの口を開けたもう死んでもいいというくらい完璧に           中沢系
ああ闇はここにしかないコンビニのペットボトルの棚の隙間に            松木秀
さみだれにみだるるみどり原子力發電所は首都の中心に置け           塚本邦雄
焼肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き          俵万智
これなにかこれサラダ巻面妖なりサラダ巻パス河童巻来よ             小池光
リトマス試験紙くわえて抱きあえばきらきらとゆく夜の飛行機            穂村弘
終バスにふたりは眠る紫の〈降りますランプ〉に取り囲まれて            穂村弘
まほろばをつくりましょうね よく研いだ刃物と濡れた砥石の香り          東直子
森の中に出かけてゆくのわたしたちアーモンドグリコを分けあいながら      東直子
あ、かぶと虫まっぷたつ と思ったら飛びたっただけ 夏の真ん中         穂村弘
ルービックキューブが蜂の巣に変わるように親友が恋人になる           穂村弘
ハーブティーにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり      穂村弘
サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい         穂村弘
ハロー 夜。 ハロー 静かな霜柱。 ハロー カップヌードルの海老たち。    穂村弘
ハイウェイの光のなかを突き進むウルトラマンの精子のように           穂村弘
「自転車のサドルを高く上げるのが夏をむかえる準備のすべて」          穂村弘
「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」  穂村弘
「人類の恋愛史上かつてないほどダーティな反則じゃない?」            穂村弘

by costellotone | 2012-03-31 13:52 | 学校 | Trackback | Comments(0)

誰かが誰かに恋してる

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a0091515_8151590.jpgピエル・パオロ・パゾリーニ監督 『デカメロン』 1970 仏・伊
フランコ・チッティ ニネット・ダヴォリ アンジェラ・ルーチェ


『アポロンの地獄 』『テオレマ』『王女メディア』『豚小屋』『カンタベリー物語』『アラビアンナイト』『ソドムの市』など神話的世界や牧歌的な艶笑噺のオムニバスから時にセンセーショナルなエログロ作品までひたすら聖と俗を描き続けたバゾリーニ監督にあってそれは人間を追求することであり映画的な面白さは二の次だったのかも知れない。
ただただ女性の裸見たさに若い頃ほとんどの作品を観た。当時はでかいボカシだったが今は見える。
最後に画家が言う。「夢の方がすばらしいのになぜ描き続ける?」

by costellotone | 2012-03-31 08:18 | 映画 | Trackback | Comments(0)

青春ゾンビ

a0091515_9184514.jpg穂村弘 『世界音痴』 (小学館文庫)

ホント、変な奴。不気味。
ただその「自分かわいさを極限まで突き詰めるとどうなるのか、自分自身を使って人体実験している」のも信用出来ない。
しかし「リトマス試験紙くわえて抱きあえばきらきらとゆく夜の飛行機」と歌う端から、「今、電車の中などで、ぎくしゃくと楽しそうに話している中学生たちをみると、ふいに憎い気持ちが湧き上がることがある。早く未来になってこいつらが全員絶望してしまえばいい、と思う」と書くのはやはり「自分かわいさ」で両立するのだろう。かなり乙女チックなのだ。もしかしたらこれは結構単純で、今の世の中共感出来るひとは多いかも知れない。又吉のように。
ま、歌人でよかったと言うことか。

これなにかこれサラダ巻面妖なりサラダ巻パス河童巻来よ   小池光

by costellotone | 2012-03-30 09:21 | 読書 | Trackback | Comments(0)

見えない星

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a0091515_8593422.jpg成瀬巳喜男監督 『銀座化粧』 1951 新東宝
田中絹代 西久保好汎 花井蘭子 小杉義男 香川京子 三島雅夫


成瀬には同じく銀座を舞台にした『秋立ちぬ』があるが、この作品もひとりで子どもを育てながら水商売で働く女性を描いている。
僕が生まれる前の銀座の風景が興味深い。銀座と言っても通りから路地に入れば海に面した下町で長屋の子どもたちが走り回っている。「三十間堀川」は今の「銀座シネパトス」のある場所を流れていた。そこにかかる「三原橋」の下に作られた「銀座シネパトス」はそんな面影が強く感じられる映画館だ。
田中絹代と香川京子はやはり成瀬の『おかあさん』のコンビで微笑ましい。

by costellotone | 2012-03-30 09:01 | 映画 | Trackback | Comments(0)

Eureka

Rahsaan Roland Kirk - The Inflated Tear


by costellotone | 2012-03-29 20:08 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

Like A Bridge Over Troubled Water

a0091515_1981052.jpg瀬戸賢一 『メタファー思考』 (講談社現代新書)

メタファーとは人間とは何かを考えること。人生に置き換えることが出来ると言うこと。一回だけの、唯一の生を説明するもの。同時に世界と自分の関係である。
メタファーのレトリックをモンタージュする「映画」は人間を人生を自分を解説する。
ちなみにメタは超える(メタフィジカル、メタ言語)であり、ファーは運ぶ。

例えば「動きのメタファー」をみる。A(進行)「立つ」「進む」「戻る」「止まる」「休む」 B(手段)「歩く」「走る」「はう」「転がる」「飛ぶ」「泳ぐ」 C(進路)「上る」「下る」「曲がる」「回る」「通過する」「渡る」「ふらつく」「はずれる」「さまよう」「迷う」 D(障害)「つまずく」「すべる」「ころぶ」「はまる」「ぶつかる」「乗り越える」「避ける」「突破する」「通り抜ける」「引き返す」「距離を置く」 E(複合)「会う」「離れる」「追う」「並ぶ」「追い越す」「続く」「遅れる」「リードする」「案内する」「妨害する」
全て人生に置き換えることが出来る。

(映画の中で)雨が降るのは何故か。風が吹くのは。彼女は橋の上から川面を見ている。彼は自転車で坂を上る。木洩れ日が踊り、子どもたちが駆けてゆく。踏切の警告音が聴こえ、私は遮断機の前で立ち尽くす。
「メタファーは、現実世界と意味世界の橋渡しをする。意味世界は、私たちの内にあり、現実世界は、私たちの外にある。両世界を結ぶメタファーは、私たちの身体が媒介する」

by costellotone | 2012-03-29 19:11 | 読書 | Trackback | Comments(0)

アルバトロス

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a0091515_8373876.jpgヴェルナー・ヘルツォーク監督 『狂気の行方』 2009 米・独 未公開
マイケル・シャノン ウィレム・デフォー クロエ・セヴィニー ウド・キア


デヴィッド・リンチが製作総指揮、ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才=ヴェルナー・ヘルツォーク監督と言うことで多少は期待したがつまんなかった。
鳥のイメージをもっと掘り下げればよかったのかも知れない。

by costellotone | 2012-03-29 08:38 | 映画 | Trackback | Comments(0)

なあんだ、そこにいたのか、とでもいうような……。

a0091515_739161.jpg大泉康雄 『あさま山荘銃撃戦の深層』 (上・下) (講談社文庫)

これまでに読んだ当事者たちの手記、ルポ、小説など書かれたものの中で一番興味深かった。
小学生からの同級生で今も交友がある著者に逮捕後究極的なひとつの質問「僕って何?」が発せられる。妻を守れなかったどころかその死に加担した「僕って何?」 お腹の中の自分たちの胎児を取り出して妻を処刑しようとした「僕って何?」
それに答える作業だ。

暗く狭い部屋に閉じ籠ってみんなで言葉に、特に熟語にそれぞれの欲や弱さの垢のようなものを塗りたくって無理やり固めてしまい、例えばその漢字そのもの、「自己批判」「造反有理」だとか「総括」「糾弾」「解体」「粛清」「殲滅」だとかにがんじがらめに拘束され緊縛され口にした自分たちの首を絞め殺し合った。そんな言葉の力にやられてしまった。主張した途端片っ端から正当化されて行く。攻撃は外へ向かって撥ね返えされ内側へ向かう。敵対する組織へ、同じ組織内の仲間へ、彼らの肉体へ、自らの肉体を「自己否定」する。

「ねえ、ヤス君、わたしたちのしてること、どう思う? ばかげていることではないかしら……」

いつの間にか信じることが出来るのは言葉しかなくなった。それも自分たちだけが信じたとても限られた言葉。常に口にしている言葉たち。それを口にするしかない言葉たち。自分たちだけの愛おしい言葉たち。うれしそうにその言葉たちは踊っている。言葉は楽しくてたまらないかのように反撃に出る。だってこいつら信じているんだもん。言葉は人間を苦しめる。目隠しした。混乱させ、殺し始める。共食いさせる。神様が人間に言葉を与えたとしたら、それは神様の思い通りだったのかも知れない。神様が笑ってる。

最高裁裁判長の判決文も当然言葉で表されており、そこにはやはり限られた独特の、反面解りやすくしようと陳腐な言葉が並び、事件の本質をぼやけさせている。同じことは被告人たちが犠牲者や遺族に宛てた謝罪文にも見て取れる。当然今書いているこの文章も同じだろう。言葉が何かを決定的にしてしまう。仕方ないのか。

by costellotone | 2012-03-29 08:12 | 読書 | Trackback | Comments(0)

虎の穴 その二

(眼を閉じて下さい)



黄色

オレンジ色

窓から校庭が見える。組み体操の練習をしている。風が吹いている。ジャングルジムのてっぺんで誰かが叫んだ。



16歳だった。

ゆるやかな坂を下りてゆく。海の気配。眩しい。

緑色。ひまわりとトンビ。波打ち際。

音楽が聴こえる。ビートルズだったかジプリだったか。

好きなひとがうつむいている。

紫がゆっくりと滲む。

自転車を飛ばそう。力一杯自転車を漕ごう。手を離してみようか。

群青色。

机の上に本が開かれている。マルグリット・デュラスの『破壊しに、と彼女は言う』
頁をめくる音
『去年マリエンバードで』のポスターが壁に貼ってある。

どうやら少し眠ってしまったようだ。

学校帰りの子どもたちが駆けて行く。
「まことちゃーん、ランドセル持つ番だよー」「ずるーい」

すみれ色。山吹色。インディゴ・ブルー。

鉄塔が続いているのが見える。

水が流れている。

踏み切りの前に私は立っている。



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あなたが思い描いたのが「物語」です。
これが「映画」です。
言葉を並べることが「編集」で、眼を閉じることが「映画を観ること」です。

試しに「雨が降っている」を何処かに入れてみましょう。それとも「ナイフ」を。
by costellotone | 2012-03-28 14:16 | 映画 | Trackback | Comments(0)

The Inflated Tear

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a0091515_7525746.jpg廣木隆一監督 『軽蔑』 2011
高良健吾 鈴木杏 大森南朋 緑魔子 小林薫 根岸季衣


大好きな『軽蔑』を寄って集ってペラペラのスカスカにしやがって。
あの濃密で愛おしい物語を何処にやってしまったんだ。

by costellotone | 2012-03-28 07:54 | 映画 | Trackback | Comments(0)