立花隆 『解読「地獄の黙示録」』 (文春文庫)
映画だけでなく表現されたものはどのように見ようと個人の勝手で、その自由度の範囲の大きさがそのものの重要な価値であると思うので、この本自体にいささか不満がある。 問題はカーツではなくウィラードの方だと思うのだ。主人公の視点を最後まで観客の視点として維持しないと問題が散漫になってしまう。「戦争」でも「アメリカ」でもなく「アメリカ人であるあなた」をどう考えるかが問題なのだから日本人のための解読、特にコンラッド『闇の奥』とエリオット『荒地』、及び「聖杯伝説」の歴史的バックボーンを追求するのには意味がない。そこまでカーツの出所に執着するよりもウィラードの変身過程を語る方が重要ではないのか。 だからこそ50分以上追加された「特別完全版」は解りやすくなった分おもしろくなくなったと感じたのだろう。僕はね。 作品の舞台裏やコッポラの苦悩を知識的に知る分にはとても興味深かったが所詮は著者の「解読」だった。
by costellotone
| 2012-05-08 07:55
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