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人を謗るは鴨の味、人を呪うは葱の味

人を謗るは鴨の味、人を呪うは葱の味_a0091515_17282974.jpg車谷長吉 『贋世捨人』 (文春文庫)

究極的な私小説だった。
『赤目四十八瀧心中未遂 』の文体と姿勢が気になったので読んだのだが、内容よりも自分との関連に驚かされた。
先日読み終わった『邪宗門』の高橋和巳の葬式にこの主人公は出席していた。前に読んだ大泉康雄『あさま山荘銃撃戦の深層』の吉野雅邦と連合赤軍結成前に会っている。恋した女が国立に住んでいて僕もよく散歩する「一橋大学」の構内でデートをし、そこで彼女に「どんな本が好きか」と訊くと古井由吉の『杳子』と答える。僕は読み返そうと思ってその作品が入っている『古井由吉自撰作品』の第1巻を買った。文芸評論家の川村二郎と呑む件があるが、僕が高校生の時につき合っていた彼女のおじさんである。このひとが古井由吉を推したのだった。僕が古井の作品を読むようになったのは彼女の勧めだったのだ。主人公が頭を丸めて谷中の「いせ辰」に千代紙を買いに行くが、「いせ辰」の亡くなられた辰五郎先生とお話をさせていただいたことがあって、お店に置かれている千代紙のひとつに猫になった僕が描かれている。
これだけ繋がると恐怖です。

by costellotone | 2012-05-10 17:30 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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