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拘束のドローイング

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拘束のドローイング_a0091515_17181261.jpg武田泰淳 『富士』 (中公文庫)

久しぶりに集中して読書したと言う実感。5日間で600ページ。
20代後半に一度読んでいたがほとんど忘れていた。改めて面白さを知る。筒井康隆を彷彿とさせるスケールの大きなまた深淵を覗き込むがごときスラップスティック痛快活劇。大笑い。肉の棒と肉の穴から宮様とマリア様。燃え上がるキチガイ病院。富士山が燃えている。一条が「日本精神病院改革案」を陛下に手渡す件は先の山本太郎だ。文庫本解説で『楡家の人びと』の斉藤茂太が衣笠貞之助監督『狂った一頁』のことを書いているがデヴィッド・リンチ監督『イレイザーヘッド』を思い浮かべた。
その斉藤茂太の解説に「岩倉」のことも書かれているが、僕が住んでいる左京区一乗寺から叡山電鉄で3つ目。曰く「後三条天皇の皇女の精神病が霊泉で治ったことから成人病の人びとが集まり、次第にコロニーが形成されたところとして有名である」。先日校舎の管理人さんと立ち話をしていた折に、知り合いがアル中を治しに岩倉の病院へ行ったとおっしゃたのでもしやと思い訊いてみるとはたして精神病院は今もあった。しからば美貌患者の一条実見と言う名前は三条実美から来ているのだろう。

by costellotone | 2013-11-19 17:41 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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