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レコード棚から-20

Miles Davis - E.S.P. (1965)

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 マイルスのグループにショーターが参加したスタジオ録音の1作目がこの『E.S.P.』で、いわゆる「黄金のクインテット」の助走。
 マイルスは静寂の宇宙に音を放ち、切り裂き、他のメンバーがヤタラメッタラ援護射撃と言うか乱射している風に聴こえて来る。そう、5人で星の彼方へ船に乗ったマイルスを運んでいるかのよう。このアルバムがスウィングからファンクへ移行するエレクトリックな『ビッチェズ・ブリュー』へと続く出発点となったことは間違いないだろう。つまりショーターはパイロットです。
 ショーターと言う人は不思議で、この人が入ると音楽は俄然膨張してアメーバのように動き廻り始める。かと言ってマイルスの世界が破裂するとか破綻をきたすとかはなくて、身勝手な振る舞いに見える時も多々あるが、それなりにうまくまとまって流れて行く。アメーバが自分の皮を自ら破らない程度にエネルギーを活性化させるのがショーターで、マイルスはそう言うコンポーザーとしての彼を望んだのだろう。しかしショーターは自身のアルバムで黒魔術をテーマにしているように、このアルバムでもスリリングでダークな空気がまとわりついているのが感じられる。
 マイルスとショーターだけでなく、トニー・ウィリアムス、ロン・カーター、ハービー・ハンコック、みんなとてつもないモチベーションで新しい世界へ突っ込んで行く気概がひしひしと感じられる。ところでこの時トニーは何歳だったの?二十歳になっていたのかな。もうこれしかないと言うドラムです。
 マイルスの曲の中で1番好きなのは1964年の「マイ・ファニー・バレンタイン」だけれど、あれは半分はミラクルなハービーのものだったね。
by costellotone | 2007-01-29 15:31 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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