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荒戸源次郎監督 『赤目四十八瀧心中未遂』 2003年 日本 大西滝次郎 寺島しのぶ 大楠道代 内田裕也 新井浩文 これじゃあこの男ただの馬鹿じゃん。 ありったけの嘘で固めてたったひとつの真実を立ち上がらせる作り物だからこそ作品のモードがリアリティを求めるのは当然な訳で、ぐちゃぐちゃの臓物から滲み出る血と液の感触とか饐えた物陰の濃度と黴臭い部屋の四隅の空気とか辻々の小便らしき匂いに混じった何かの腐乱する匂いとか瞬く間に路地中に伝染する焦燥感と殺意とか昼間から食堂でビールをあおる女のヤニ臭い指先とかを感じることが出来ずに空絵事の芝居がひたすら続き台詞の中身は空虚でしかない。もっともっと唾棄すべき人間をリアルに描かないと見えて来ないよ。 P.S.この冗長な膜のような肌触りに覚えがある気がして仕方なかったが、瀧へ向う道行きの中で木々から漏れる光りの踊りを見た途端に想い出した。曽根中生『不連続殺人事件』だ。何が似ているのだろうか。まさか内田裕也か。そう言えば若松孝二『エロチックな関係』も同じ穴の気配がするが、これも内田裕也だ。あっ、荒戸源次郎 も出演していた。長谷部安春版『エロチックな関係』の主演も内田裕也だった。何かおぞましいリンクが貼られているような。 かつて「天象儀館」が国立にあった頃着流しで歩いていた姿を覚えている。奇妙な笑顔の下は山師。「陽炎座」からは遠く離れて。
by costellotone
| 2008-07-21 11:59
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